クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

「神様は死んだ、って」

 シャニマスのクリスマスパーティday2アーカイブやっと見られた。
 斑鳩ルカのサプライズ登場と初曲披露をあらかじめ情報として知っていたのだが、そのパフォーマンスに圧倒されてしまった。
 斑鳩ルカという人物は劇中でカリスマとして描かれており、いわゆる「サブカル」的なものが好きな人や病んでしまいやすい人を惹きつけているという描写がある。また現状プレイアブルキャラクターではなく、その情報は断片的に現れてくるのみで、ほとんどわかっていることはない。この人物が突如ライブに登場し、パフォーマンスを披露したと考えてほしい。
 カリスマがそこにいたのだ。
 大森靖子などの曲を聞いたことがあるだろうか。あんまりそういう括りを設けたくないので「サブカル」というのは適切ではないと思っているが、精神的に苦しい状態の人間が自分のことを歌っているように感じたり、苦しい自分をある種救ってくれる神のような存在。そういう存在としてのパフォーマンスがあるんだと思うが、今回の斑鳩ルカはまさしくそれだった。
 僕はそういうのが大好きな人間なので、本当にやられてしまった。舞台上で苦しむ姿に自分も苦しくなり、怒りのような感情の濁流に飲み込まれていき自身が恍惚とした表情を浮かべているのを感じるような、トランス状態に近づいていく空気。「(ペンライト)もっと振れ!」と命令された場面はゾクゾクした。カミサマと崇められている存在のライブがそこにあった。
 しかも歌う曲のタイトルが「神様は死んだ、って」で自殺を仄めかす振りが含まれているのまで本当に何から何まで計算の内なのに、自分のカミサマが魂を削っているように見える。自分のカミサマが死んでしまうように見える。何もかもカミサマに踊らされている。すごいライブだった。
 「神様は死んだ、って」という曲は現在各種DL販売サイトで購入できるので聞いてほしいのだけれど最高に良い。日常の息苦しさと渇きを感じる、まさしく自分のために歌われていると感じさせる曲。
 斑鳩ルカ自身の歌というより、斑鳩ルカが存在する世界で実際に斑鳩ルカが出した曲で、信者が何度も再生してる曲というのが正しいと思う。学校に居場所がないと感じている生徒が昼休みに、登下校中に聞いているし、どうしようもない孤独感に襲われている大学生が夜中に一人で聞いている曲だ。世界を破壊してくれる曲。この曲に救われている人間の存在が想像できる曲になっている。めちゃくちゃすごいと思う。聞いてほしい。
 斑鳩ルカを演じている川口莉奈さんもめちゃくちゃかっこよかった。ライブ版は地の底から呻っているような声がして最高だと思う。今後どうなるんだろうか。楽しみ。
 ここからはメモに近いこと。
 カリスマ的存在というのがイメージではあるけれど具体的に誰とは言いにくい。戸川純が最初に思い浮かんだけれどそれほど知らない。
 斑鳩ルカのカミサマ像の形成というのは、僕の中では戸川純アーバンギャルド大森靖子あたりでできている。
 こういうジャンルの音楽を自分の中でもっと形成できればまた見えてくるものがあるかもしれない。