クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

短歌 2023年7月

つながった縁をめぐる結び目がほどけないようまた手をつなぐ

 

今日は卵を二個使うぜいたくを許した朝の声とステップ

 

サンセット君の瞳が届くから誰にも羽があることを知る

 

 

今月も少ないため、鑑賞をがんばっていこうと思います。感想になっているので今後改善していきたい。

 

鑑賞記録

岡野大嗣『音楽』

 

聴いたことないならぜんぶ新譜だよミッシェルの新譜で踊ろうよ

 

 誰かに自分の好きな曲を紹介する時、つい「ちょっと前の曲だけど」と言ってしまう。まるで今の曲じゃないから好きじゃないかもと予防線を張るように。でも内心では自分の好きな曲は全員にとって最高だと思ってるし、そうであってほしいと願っている。

 この一首はもっとストレートに好きな音楽を伝えてくる。まだ知らないアルバムのことを「新譜」と言う。「新譜」はたいてい最近出たアルバムやシングルのことを指すが、ここでは過去に出た未知の作品のことを新譜と呼んでいる。「ミッシェル」はおそらくTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT のこと。2003年に解散している。おそらくもう新譜は出ない。

 新譜という呼び方には特別感がある。「新譜」が登場する場の多くは、既に知っているアーティストの新作を指していることが多いのではないだろうか。つまり新譜には新作に対する期待感や高揚感まで含まれていると思う。

 まだミッシェルを知らない君へ、その期待感や高揚感を持って一緒に聴いて踊ろうと言う。ミッシェルの話をするだけで意気揚々となっている様子も含まれているようで良い。

 

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