クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

2023年シャニマス短歌まとめ

2023年中に詠んだシャニマスの短歌を全てまとめました。
内心いいものも反省も多いけれど、それぞれ詠むために読んでなかったコミュ読んだり再読して発見があったりといいことも多かったです。ちょっと労力的に来年も全員分ってのは厳しいかもしれませんが、なるべく続けたい。

 

 

芹沢あさひ

まだ見ない星を目指して跳躍すホップステップ月へ銀河へ

ソロ曲「星をめざして」をもとに詠んだ歌。高くジャンプして宇宙まで行ってしまうような、一歩が大きくてすぐに遠くに行っちゃうようなあさひの動きを描きたかった。

 

三峰結華

原付で去る君を目で追いかけた遠ざかるエンジンと「また明日」

【雨に祝福】を詠んだ。三峰は去り際のギリギリまでおしゃべりしてくれるし、別れ際は「お別れの言葉」が聞こえなくなるまで言ってくれるんだろうなと思って。

 

斑鳩ルカ

カミサマも誰かを好きになり歌う嫌いな誰かを呪うように

「線たちの12月」とクリスマスイベントの乱入を思い詠んだ。この時はルカについて知ることのできるコミュがほとんどない中、このイベントコミュで「283プロと関係ない存在」に向ける目を知ることができた。ルカの中にある優しさを感じたところで、クリスマスイベントに乱入した時の最初のセリフで「救われないお前達に、メリークリスマス」と言ったのは本心なのかもしれないなと感じた。苦しみの中で同じように苦しんでいる人がくれる言葉しか響かないことがある中で、ルカの「メリークリスマス」に救われた人がたくさんいるんだと思う。そういう感情と言葉のかけ違いを詠みたかった。

 

園田智代子

じゃんけんぽんチ・ヨ・コ・レ・エ・トで駆け上がる夕暮れを見る春の真ん中

「チョコレート」って聞こえたら反応しちゃうんだろうなと思う。春の真ん中は青春のど真ん中ということなども含んでいる。小学生が遊んでいる情景を優しげに見る智代子を想像した。

 

月岡恋鐘

美味いもん作るあなたの歌声とサンドイッチに卵もつけて

恋鐘は食事や料理そのものに幸福を感じるかなあと思った歌。自分の特別な日に自分でご褒美つけて、みんなで食べることが好きかなと思いこういう内容になった。みんなで食べたいからサンドイッチにした。

 

風野灯織

いつだって努めて君が風を呼ぶ言葉を紡ぐあかりの祈り

努力と言葉を選んで話すところを入れ込みたかった歌。灯も入れようとしてちょっと散らかってしまったが。

 

市川雛菜

しあわせの色したケーキ、服、笑顔、月が輝く君が好きだよ

雛菜は自分の好きなものに囲まれている姿が思い浮かんだので、色んなものを羅列した。もう少し囲まれている感じを出したかった。

 

桑山千雪

春風をラッピングする柔らかな熱を一緒にたしかめたくて

千雪は共有することを大事にしているのと、日常の些細な変化を好んでいるように思うので、温かな春を分かち合う歌にしたかった。

 

櫻木真乃

つながった星から星へかがやきを伝えるために鳥は羽ばたく

真乃の歌でもあるし、283プロの歌にもしたかった。星座のように三次元的には全く位置の異なる星たちを結びつけるように、色んなところから来た人と人をつないでいくアイドル。それと伝書鳩のイメージを重ねた。

 

浅倉透(周年記念キャンペーン)

 

君を見る/君に見られる水平線そこにいるからそこで見ててよ 

5周年記念キャンペーンでノクチルの短歌を集中して作歌。ベースは同人誌、浅倉透合同『WHERE, WHO, WHAT IS TORU ASAKURA?』を読んでの考えも含んでいる。浅倉透から期待される「見ていてほしい」という感覚と、存在の留まらなさを詠みたいと思った。

 

福丸小糸(周年記念キャンペーン)

飴玉は小さな手紙みんなから君が好きだと伝えるための

みんな君が好きだよと言いたくて詠んだ。ファン感謝祭で手紙を返信する描写があったので、思いを託すものとして手紙と飴玉にした。

 

市川雛菜(周年記念キャンペーン)

サイダーのように弾ける雲に乗るあなたは風に咲くシャボン玉

ソロ曲「あおぞらサイダー」をもとに。ポップでファンシーな空気感を作りたかった。サイダーの泡が上るようにシャボン玉を空に浮かべようとした。

 

樋口円香(周年記念キャンペーン)

空っぽの宝石箱に蓋をする紡ぐ言葉はルビーだ 熱い

【Merry】から。言葉(というより言霊)を大事にしていると思うので、その宝石のような輝きと熱っぽさを詠みたかった。

 

浅倉透(周年記念キャンペーン)

ポケットをひっくり返す忘れてた時間と糸が絡む失せ物

「ワールプールフールガールズ」をもとに。浅倉透はぜんぶひっくり返そうとすることと、失くした物が埃まみれで見つかること、物にはいろんな思い出が絡むことを詠みたかった。

 

ノクチル

鯉のまま泳ぎつかれてしまっても鯨は海で待つからまたね

ノクチルのことを詠む時は「鯨」を入れることにしている。ワールプールフールガールズでは同級生「竜王」が出てきて、竜に成れなかった話が出てきた。鯉が川を登って竜になる登竜門の話を思い出したので、鯉と鯨の世界を作りたくなった。

 

福丸小糸(周年記念キャンペーン)

あの街に続く道にも枝がありこことは違う花が咲いてる

リスペクティブワークスタイルとかでシャニマスはアイドルを選ばなかった彼女たちを想像させることが時々あるかと思うけど、小糸には特に他の人生を感じることがある。道が分かれていくことと、木が枝分かれすること、そして枝分かれしたその先どれにも花が咲くことをつなげて詠んだ。

 

市川雛菜(周年記念キャンペーン)

いつかくる終わりも君は笑ってて帰りにケーキでも買いに行く

「ワールプールフールガールズ」などで雛菜はノクチルがいつか終わることを理解していることを明確に見た。終わるって分かってても続くこともわかっている人だから、楽しければ笑顔を絶やさないかなという歌。

 

樋口円香(周年記念キャンペーン)

夕焼けが私の街を燃やしてく爆ぜる火の粉が胸を燻る

【カラカラカラ】に戻って、かつ彼女の熱を伝えたいと思った。知らなかった世界を知ってどんどん入り込んでいくことと、火が燃え移ってくる感覚を近づけた。

 

市川雛菜(周年記念キャンペーン)

ひかりさす なみうちぎわに なをきざむ さらわれても残る足跡

【DE-S!GN】をふまえて。砂浜に「ひなな」と書くことと、それが消えても残るものを思った歌。すごく良いコミュだけどあの質感をうまく描けなかったのでまた主題にしたい。

 

福丸小糸(周年記念キャンペーン)

初めて笑う君を見たアルバムは時間をかけて重たくなって

ノクチルといない時の小糸ちゃんが時々描写されるけど、学校で笑ってる姿をあまり想像できなかったので、小糸の笑顔を見たことない同級生もいるんだろうなと思った歌。卒業アルバムを特に意識してるけど、そもそもアルバムって写真を足していく物理的に重さが増えるのと、思い出がどんどん増えていくのと2つの好きなところがある。

 

樋口円香(周年記念キャンペーン)

羽ばたきがいつか嵐を生むように飛ばない 私にあるのは脚だ

バタフライエフェクト。小さな変化が大きなうねりを生む。でも飛ぶということに懐疑的な目を向けるだろうなと思った。必ず地に足つけて闘うんじゃないかと思い、その重心の低さを乗せたかった。重さと軽さについてはGRADをもとに2022年に詠んだので、少し距離を置こうと思い言葉にしていない。

 

田中摩美々

夜光性だから昼間はお日様に引いた斜めのラインマーカー

摩美々が似合う時間はやっぱり夜かなと思って、夜行性と夜の景色が似合うということを入れたかった。多くのひとが活動する昼間、マジョリティというものに反骨する感覚を持ってるかなと思って、斜めの前髪と合わせて太陽に線を引くこと、蛍光に光るラインマーカーと夜光をつなげた。

 

白瀬咲耶

王子様ドレスで踊る夜を超え魔法が解けても君は微笑む

咲耶は王子様としてのキャラクターがあるけど、それでいてドレスも似合うと思った。両面持っていてほしいし、そういう着飾った姿をやめても魅力がとまらないことを「魔法が解けても」と言いたくなった。

 

八宮めぐる

つながった縁をめぐる結び目がほどけないようまた手をつなぐ

LPで見た、これまで結んできた人間関係をすべて大事にするめぐるを詠みたかった。縁を結ぶという言葉から紐状のイメージがあるし、疎遠になりそうな人とまた距離を近づけることは紐を結び直すことに似ている。

 

七草にちか

今日は卵を二個使うぜいたくを許した朝の声とステップ

「卵って高いんですよ!」って言いそう。ちょっとはづきさんの視点も含みつつ、今日誕生日だし「卵二個使っていい?」か「卵二個にする?」かどっちが言い出すかわかんないけど、でもそういう小さい贅沢から1日がスタートしてほしいなって思った歌。

 

小宮果穂

サンセット君の瞳が届くから誰にも羽があることを知る

果穂は人の良いところを見つけるのが本当に上手だと思う。そういう誰もが輝く可能性を持つことを教えてくれる瞳、夕焼けの赤色は散乱せずに遠くまで届いた光だということや放課後の重ね合わせで作った。

 

和泉愛依

月光が内から照らす微笑みを隠しきれないあたしの仮面

「ウチ」も「あたし」も大事にしているので、音としてはどちらも入れたかった。GRAD優勝コミュも大事なところかなと思って。光は隙間から漏れるものだから、クールな仮面の隙間からそういう笑顔が見えるといいなあという歌。

 

有栖川夏葉

葉を揺らす夏の日に触れ空へ向く放課後の君遠くなっても

挑戦もしたかったので、は行の音を入れていった。木の風にざわめくところや夏の日差しを一身に浴びるところが明るいなと思う。一方で木は上に上に伸びることができても人のように移動できない。中高生の頃校内や学校周辺にあった木をもう見ることはほとんどないのかもしれない。こっちは地元でなんとかやるから、そっちも元気でね、というようなことを考えていた。

 

緋田美琴

BPM120より高鳴って嬉しいことがわかり嬉しい

美琴の視点であって美琴の視点でないかもしれないけど、あんまり自分の喜びが表に出ない人なので、身体的反応の方がより感情的なのかもしれないなと思った。ドキドキしてることがわかって初めて感情に気づく感覚を美琴も味わっているといいなと思う。

 

幽谷霧子

日にそよぐ花が咲くまでほほえみを紡いだ声と水がながれる

霧子の慈しみを詠みたかった。花一つ一つに声をかけて水をやる姿を、柔らかく温かい空気とともに描こうとした。「日にそよぐ」は好きな言い回しになったのでもっと活かしたい。

 

杜野凛世

あゝ遠くまで飛んで行け折鶴は君を宿して翼をひらく 

折鶴に息を吹き込んで翼をひらいたことはありますか。LPで凛世自身が遠くに飛ぶということと鶴、それから朝コミュの折り鶴がつながっているように見えた。折り鶴は完成したあと息を吹き込んで翼を広げることができるけど、まさしく命を吹き込むようだし、自分を宿すようにも見えるかなと思ったのでモチーフは良かったかなと思う。

 

樋口円香

熱を帯び身体が宙に浮いたから歌は響いて鳴り止まなくて

ベースは【キン・コン】。夏祭りの熱と花火の浮いていく様をイメージした。円香の内側の熱っぽさと、暑い時や風邪の時の意識が浮く感覚を混ぜて、【ピトス・エルピス】あたりから描かれている歌への執着を詠もうとした。

 

福丸小糸

つむぐ ほつれる 一歩ずつ重なって糸は帆となり波をとらえる

練習する姿、試行錯誤する姿が印象的で、次とその次を求め続けるところが魅力的だと思う。その挑戦と失敗を繰り返していつか大きな海を自由に動けるようになること願う歌を作りたかった。

 

西城樹里

恒星を支える星の存在を君が光って見せようとする

【Clashmade】やGRADから。周りにいる支えてくれる人や自分を応援している人を見ていること、感謝を伝えようとしてくれる人だと思う。ファンとか裏方とか表舞台に立たない人のことを意識しているところが樹里ちゃんの魅力じゃないかと感じた。アイドルは星に例えられるけどその星は必ず輝く恒星で、惑星のように輝かない星は見えにくい。ここに仮託できると思ったのでこういう歌になった。

 

黛冬優子

モニターが獲物を捕らえ蠱惑する紅葉の鬼はキュートに笑う

紅葉狩という能や歌舞伎の演目の、美しい鬼を入れ込みたかった。傾城とかもそうだけど、美しさが破滅を呼ぶっていう存在が面白いなと思ってる。冬優子も一度捕らえたら離さない魅力を持っているし、それを分かって振り撒いてくると思ったから重ね合わせてみた。ただどうしても鬼のイメージとか他の言葉のバランスが悪目立ちしたので反省。

 

大崎甜花

満月も陰があること歌声が背中に触れて温かいこと

GRADをふまえて。輝く場所にいるアイドルにも1番光が当たる場所とそうでない場所がある。けれども、どこにいてもアイドル自身は輝いてることや、そのアイドル自身は誰かの励みになることを甜花ちゃんが教えてくれた。ただ上句が重くなって下句が難しかった。

 

大崎甘奈

月面は残した跡に気づくかな歩いていくよ海のランウェイ

LPから。くやしかった記憶を足跡として残した場面を見て。月に足跡があることを重ねて、ここから月の足跡が見えないように甘奈の表に出ないがんばりが見えにくいことと、一方でそれが残っていることを描きたかった。

 

以上です。GRADやLPのコミュを中心に読んできたので、来年はできたらサポートカードやイベントを通してユニットの歌を詠めるようにしたい。もっといい短歌を詠めるように、もっとシャニマスを深く楽しめるようにやっていきたいね。

来年もよろしくお願いします。