クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

短歌 2023年1月

まだ見ない星を目指して跳躍すホップステップ月へ銀河へ
 
放課後は西日が作る鍵盤を鳴らして歩く 運命だった
 
うさぎにもさよならと言う優しさを持つ君でさえ黙ったままで
 
暗闇に右手差し出し「踊ろうよ」照明もない独り霧雨
 
宇宙さえ広がり続けて離れるし君が私を迎えに来てよ
 
自転車を漕いだ時間が音になり耳を千切ろうと来る妖怪
 
流れ星燃えず地上に降りたとて僕は願いを叶えはしない
 
コーヒーを飲み干すまでの間さえ仮面をつけて罪を償う
 
原付で去る君を目で追いかけた遠ざかるエンジンと「また明日」
 
堕ちたとて天使は天使羽があり眠る貴方は春を迎える
 
前髪が風に吹かれてやり直す無限ループの青いえすえふ
 
タワレコの黄色タワレコの赤色音楽で食むフランクフルト
 
ドライヤー中なら何を言ったとて聞こえないから「終わりにしよう」
 
カミサマも誰かを好きになり歌う嫌いな誰かを呪うように
 
落ちている手袋を踏んでしまった私を見てる信号黄色