クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

YOUR / MY Love letter 感想

 シャニマスシナリオイベント「YOUR / MY Love letter」を読んだ。その感想をまとめておく。
 
 「すべての名もなき人たちへ」送られた優しい物語だったなというのが大きな括りとしての感想。
 誰もが光のあたる場所に立っているわけではなくて、誰かの脇役になっていたり光の当たらない場所で過ごしている。けれどそういう人たちにも顔があって名前がある。誰もが主人公だというわけではなく、誰もが個人として生きているということに目を向けてくれた話だったなと思う。
 
 それぞれが役割を持って生活していて、その役割が中心にあるように思う。教師は常に教師であるというようなこと。そこから降りていいと言ってくれているように思う。
 教師である前に一人の「鈴道萌夢」であること。それがとても大切なこととして受け止めてくれている。
 自分の代わりがいることは事実で、世界は自分なしでも回るようにできている。一方で大崎甘菜のように誰も代わることができないような存在になってしまうと、そこには色々なプレッシャーがかかって一人で立つことを自分に強いるようになるかもしれない。どちらも辛い面がある。
 でもこの顔と名前を持つ人間は世界にただ一人だ。自分自身には代わりがいないということは残り続けるのではないだろうか。そうしてそれが一番大事なことで、一番大切にしてほしいことのように思う。
 

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 大崎甜花は「想いの力は弱い」「たまになかなか届かない」ということを実感していて、だから何回も伝える必要があるという。それはいつか届くという思いも込もっているように聞こえた。
 何回も何回も伝えればきっといつかは伝わる。そういうメッセージでもあると思う。
 想うことと、それを届けることの大切さを感じた。思っていることを口に出さないことが多く、ピアスの女性「遠藤美百合」のように遠回しに表現したり言葉を選ぶことが多いと思う。そこで素直に想いを口にすること。小さな感謝からでも言葉にすることが一歩目になるんだと思う。
 
 unknownという抑うつ傾向の人物はまだ見ぬ「名もなき人」の一人だけれど、彼/彼女はいずれ光のあたる場所に立って自分で照らしていくようになるのかもしれない。
 個人としての楽しみや喜びを見出して生きていくという意味で、誰もが光となるんじゃないだろうか。
 誰かの脇役に徹していても、光があたる場所にいるはずなんだと思う。

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 以上が「YOUR / MY Love letter」の感想。このシャニマスを体験している人間も巻き込んだ素晴らしいシナリオだった。
これほどまでに言葉を選んで優しく包み込んでくれるとは。本当に好きなシナリオの一つになった。
 なんとなく、明日も頑張ろうと思う。