クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

短歌 2023年3月

いつだって努めて君が風を呼ぶ言葉を紡ぐあかりの祈り
 
この店も透明だった入ろうと促す君がグラフィティアート
 
水の無いプールを泳ぐ明日にはマスクを外し目を見て話す
 
しあわせの色したケーキ、服、笑顔、月が輝く君が好きだよ
 
水性のガラスが光折り曲げて新幹線の外を見せない
 
地下だから電波の弱いルノアール紫煙を偲ぶ赤い絨毯
 
もしこれが終わりじゃなくて……なんて嘘たった二人でやるこおり鬼
 
もしこれが終わりじゃなくて……始まりで空に向かって吹くシャボン玉
 
証書持ち待ち合わせ場所伝え合ういつか忘れる校舎の名前
 
ベーグルに空いてる穴の向こう側歩いてた道歩いてく道
 
光が空を染めるとき色があることを知るから涙は青い
 
ムカつくなエ・モ・い言葉で飾り付け悲劇の花はひとりだけでいい
 
空いた穴埋めるのにまた穴を掘る貴方にもまだ謝れぬまま
 
インターネット子守唄聞きながら傷つけ合って死ぬまで踊る
 
安心を得たくて下を見るだろう蜘蛛の糸だと知らずに登れ