クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

『説教したがる男たち』

 語るほどの言葉を持ち合わせていないと思って読み終わった後何も言わず放置していたが、何も言わないのも違うのではないかと思い、感想にも満たないメモを残しておくことにした。
 レベッカ・ソルニット『説教したがる男たち』を読み終わった。
 著者自身に著者の書物についての講釈を垂れる滑稽な男の話から始まり、そういった女性を対等に見ていない男性が生み出す暴力についてまで話が深まっていく。アメリカでは1分に1度の割合でレイプが起きているらしい。このような衝撃的な情報が続々流れ込んできてかなりのショックを味わった。
 男性と女性の間にある溝を実感させられる。これがアメリカのことだと切り捨てるのは難しい。こういう男性はこれまで何度も見てきたと何度も思わされる。自分と地続きの人間が、同じように地続きであるはずの半数の人間を支配しようと躍起になっている。そしてこの支配は社会構造そのものにまで浸透している。嫌になるね。
 それでもこの本には希望が込められている。それはすでに人々がこの支配的な思考に気がついていること。思考は存在する以上無くなることはない。どれだけ支配する世界に戻そうとも戻すことはできないのだ。そのことは大きな希望だと思う。
 読んでからだいぶ期間が空いてしまったのであっさりした感想になってしまったけれど、色々な人、特に男性に読んでほしいと思う。
 色々な振る舞いについて再考するきっかけになる本。