クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

短歌 2023年4月

刹那主義だったとしても未来には今をつなげて生くしかないし
 
虹が出る画面に付いた水滴でもうすぐ傘を開く夜だよ
 
春風をラッピングする柔らかな熱を一緒にたしかめたくて
 
つながった星から星へかがやきを伝えるために鳥は羽ばたく
 
君を見る/君に見られる水平線そこにいるからそこで見ててよ
 
飴玉は小さな手紙みんなから君が好きだと伝えるための
 
サイダーのように弾ける雲に乗るあなたは風に咲くシャボン玉
 
空っぽの宝石箱に蓋をする紡ぐ言葉はルビーだ 熱い
 
ポケットをひっくり返す忘れてた時間と糸が絡む失せ物
 
鯉のまま泳ぎつかれてしまっても鯨は海で待つからまたね
 
あの街に続く道にも枝がありこことは違う花が咲いてる
 
いつかくる終わりも君は笑ってて帰りにケーキでも買いに行く
 
夕焼けが私の街を燃やしてく爆ぜる火の粉が胸を燻る
 
ひかりさす なみうちぎわに なをきざむ さらわれても残る足跡
 
初めて笑う君を見たアルバムは時間をかけて重たくなって
 
羽ばたきがいつか嵐を生むように飛ばない 私にあるのは脚だ
 
 
今回の短歌の多くは下の企画のために制作したものです。あわせて見ていただけると幸いです。