クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

化け物

 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、葉月、長月、神無月、霜月、師走。
 未だに一部抜けてしまう。なんとなく意味を覚えて確認すれば理解できるけれど、皐月から長月がどう並んでいたかじっくり考えないと出てこない。
 教養のなさを感じる。もう少し日常の中で触れていければ覚えられるだろうに。
 そういう日常の中にあればもっと覚えられるのにと思ってしまうようなことがたくさんあるように思う。残念ながらどれも今すぐには思い出せない。
 記憶力が心配になる。外部記憶装置にたよって生きている弊害。
 なんとなく覚えていることは多くあれど自らの口で容易に説明できることが少ない。
 もう少し教養を身につけたい。
 教養の身につけ方とはなんだろうか。本を読んでもわかった気になる、あるいはわからないことがわかるだけで身についたとはいえないように思う。
 そうしたことを繰り返してわからないが少しわかるというレベルまで持っていくこと?
 わからないにしても読んだ量が積み重なっていく中でなんらかの理解は得られそうだ。それが教養の一端になるのかもしれない。理解をしていない状態でも積み重ねることが重要なのかもしれない。
 自分の脳をもう少し刺激して生きていきたい。死んでいくのがわかるより前に生きている部分を最大限活用しなければと思う。
 別に高尚なことがしたいというわけではなく、低俗なことでもきちんと脳みそに詰めていく作業を施して、いらないものでも満たされた引き出しを持ちたいという思いがある。
 教養を身につけたいだけでなく、あらゆる知識を貪欲に摂取したい。
 摂取したものを血肉に変換して化け物になりたい。前見たNetflixの短編ドラマ集「Oats Studios」の「融合体」の複数の手足が集まってできた化け物みたいに。
 化け物になって意味もなくさまよい続けたい。