クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

短歌 2022年5月

未来では明日よりずっと良い日だと思える今日が増えますように
 
箱の中身はなんだろう、わからない初めて触れた月に似ている
 
誰とでも椅子取りゲームしたくせに二人になってからが本番
 
爆発がどーんとあって生まれた僕ら心臓をどーんと生きる
 
しゃべれどもしゃべれどもなおしゃべりたいびしゃびしゃになる雨の中でも
 
電磁波を眺めて過ごす木曜日海にあるのは蜘蛛の糸だけ
 
「生姜焼きでの「最高〜!」が1番万里の長城」「どういうこと笑」
 
斬り殺す快感含め腹の中証拠隠滅鳥の串刺し
 
写真には残らないから。嘘ついて覗く首、肩、胸、瞳、匂い、
 
瞳越しに覗くことしかできない脳みそで直がいい襟足
 
こっち見てレゴブロックの顔でいい私の腕も固いUの字
 
シワのないシャツを着ている貴方にも咲く花言葉「誠実」「愚か」
 
北方に南国の種を植えよう二度と星など見下ろせないよう
 
それでは次の資料を見てくださいそれがお前を恨む全てです
 
青色のリンクを踏んで赤色に失くした脚は代わらないけど
 
夢にまで出てきてなんの用?君は現実世界の果てで踊れ
 
初めての海外旅行風ドリア二人で泳ぐ赤ワイン海
 
髪型を同じショートにしてみたらアイツが少し光を放つ
 
立ち漕ぎで進み行くあの女の子背負わされるは夏の透明
 
あいた窓より賜う風置いていく春の残りと夏のベイビー
 
雷鳴のごと澄み渡る憎しみを飲み込んでみろ感謝の言葉
 
この星球ほしの外よりやってきた貴方「準備できた?」も扇風機声
 
空港のダンスフロアに手を挙げろDJ俺が星を回すよ
 
泥濘にキックボードを詰まらせた小さい輪廻食べる息の音
 
旧い字で書く名前だと知り一度書き直しつつ覚えてる髪
 
ワガママな紫色に染められて赤を青と言う夜の黄昏
 
高架下闇に紛れて現れる月光を写すクリームソーダ
 
室内のインターバルで降った雨貴様もあの子を泣かせたいのか
 
扇風機回して風が届く距離=初夏の音ズレる時
 
噴火するエスパーごとく割れ頭眠れ眠れよ溶岩流れ
 
毎日が崩れて焼けたストーリーそれでも起きてパンをチンする
 
ストーリーから消えたとこ見せてよ編集してない卵を割って