袖を折り作る気体の通り道晒した肌は知る 終わったね。
夕焼けが時間を騙すもうすでにバスは過ぎ去るというのに赤
こっち来い雨降る街の前線へ濡れた覚悟で駆け抜けろ君
くじらの子海はそれでも小さくて動いてはひび割れる水槽
ウグイスは夏近づけど春告げて終わることのない谷渡りゆく
どこから来たかだけ光る駅看板未来は誰にもわかってるから
七時でも明き空 青灰色の雲を象る澱んだ宇宙
ファミチキを路上で食べた夕闇にこれが生きてた証はどこへ
総員!直ちに道を封鎖せよ!コンビニ寄ってゆっくり帰ろう
まだ0時だけれど月は傾いて知らない国へ逃げようとする
服を着る、都会へ出かけ服を見る。昨日死ぬならそうしたかった
誕生を人はいつまで喜ぶの明日が波のごとく近づく
食べられた2キロバイトの文字列は海に行けない砂浜の穴
目を閉じて眺む光は全て虹電球の丸血潮の星屑
街中に足ばら撒いて踊る僕独り歩道と車道を渡る
赤子分ぐらいの重さを抱えてスーパーと家を繋ぐ命道
水色のネオンライトの窓ガラスここを進めばと思いながら
渡されたビンに入ったウーロン茶もうそこにない命の話
麻紐が千切れるように引っ張って関係性を失おうとする
土の中眠る遺物に教わったあいつもいつか教えることを
宝石の澱みを飲んだ怪物が僕から君を飲み込んでいく
二本指立てればpeace逆さまにしても人だし自立している
深林が飲み込むような眠りから抜け出せずいる冷房の風
この世でも地獄の君を救いたいという思いも祈りには邪魔
熱帯夜絶対嫌だともがく腕べったり湿る寝間着の中へ
風吹けば桶屋が儲かるはずなのに熱で桶すら乾涸びている