クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

短歌 2022年9月

理性ダム決壊させて溢れ出る昔誰かを好きだったこと
 
宙に浮くラスボスごとく手を広げ寝ている夢の世界の勇者
 
体操着書いた名前が泥まみれ大人になって触れたからかい
 
満足のできない水を飲まされて渇き続ける欲張りの夜
 
一本で満足できる塊をたくさん売って満足できない
 
鏡越し映る自分に問いかけるお前は誰でどこに生きたい?
 
終わらない緋色の研究独りでは飛べない鳥も居るのだろうか
 
埋め立てはマンションになり斜向かいは更地になってコンビニが建つ
 
あなたなら走り出しても止まらない駆け抜けて空・風・今の青
 
最高の瞬間駆ける輝きがいつまでも続くChapter1だ
 
森を消す人と人とが恨むよう電柱に集う夜中のカラス
 
溢れ出る本の石油に溺れつつ知恵の泉を清掃してる
 
檸檬ファイトクラブも爆弾も作れないから虫を殺した
 
あだ名より名字で呼んでいる方が特別になるかもと思って
 
普段なら買わない本に散財し知恵を得るのが「私の乱」よ
 
それでも地球は回り日が昇ることは全く救いにならない
 
真夜中のアニメの合間Blu-rayBoxを売るキャラクター達
 
お日様が撫でる産声に水をやる花になったらまた教えてね
 
羽のない扇風機見てマジシャンのように手を入れたいのも大人
 
天井に映る水面のゆらめきに決して映らぬメダカの泳ぎ
 
電車に揺られる自分は本当にゴールに近づいているといえる?
 
玄関を閉めたか確認するように傷つけた人を思い出してる
 
勝負して負けたらどんなことも聞くと言っていつも勝ってくれたね
 
幸せは歩いてこないさあ走って!その間だけ応えられます