クラゲドーナツ

クラゲドーナツは虚無の味

カルネ

 京都のパン屋SIZUYAのカルネというパンをご存知だろうか。
 京都のあちこちに店がある青い看板のパン屋ことSIZUYA。そこで売られている、丸く柔らかめのフランスパンに特製のマーガリンが塗られており、ハムと玉ねぎが挟まったパンである。
 僕が知ったのも最近のことなのだが、これが大変美味しい。パンにマーガリンの香りが絡んで、ハムの旨味と玉ねぎの食感が口の中を刺激する。
 驚くべきことに、通常の状態ではまだ半分の力しか出していない。真価はトースターで温めた時に発揮される。一番低い温度で1、2分温める。するとマーガリンが若干溶け、ハムにも熱が入る。後のことは想像に容易いだろう。
 この美味しいパンが世に出て売られている。しかも一個200円程度と安い。一個200円。五個買っても1000円。
 先日三条河原町の店舗で一つ買った時、なんとなく店内で食べるのもと思ってしまいそのまま外に出た。
 外を漂流すること数分 、京阪三条駅付近に座ることができる場所を見つけた。寒空の下、風を纏いながらカルネを食べる。こんな環境でも美味しさが上回った。パン、ハム、玉ねぎの組み合わせがこの世で最も強い組み合わせの一つなのではないかと思うぐらい、寒さに打ち勝っていたのだ。
 しかしまだ食べたことがないという人がいるならば、暖かい部屋でカルネを温めて食べて欲しい。それがカルネが最も輝く食べ方だと思われる。